2014年3月20日木曜日

差別表現だけが撤去理由なら憲法違反かも

はだしのゲンはまあ何かと表現的に問題ないとは言い切りにくい漫画ではあるが、
一市長の主張だけで撤去可能なほど酷いとは思えない。
なにより憲法と法律の視点でも はだしのゲン側に有利ではないかと思われる。

まず日本国憲法第二十一条では第一項で「表現の自由」が保証されている。
そして第二項には「検閲は、これをしてはならない。」と規定されている。
ここでは検閲の定義が示されていないが一般的な辞書であれば「公権力が文書内容を精査する」のは検閲である。
今回の場合は事後検閲と呼ばれるものに該当するのではないだろうか。

次に、ニュースでは「き○がい」および「こじき」が差別表現であると市長が主張していると書いてあった。これらは本当に差別表現か?
どちらも放送禁止用語であるが放送禁止用語=差別表現ではない
一般的に差別的に使用されるかどうかが問題点となる。
さて「き○がい」はぶっちゃけ黒に近いグレーと言える。
本来は錯乱した(発狂)状態を指すものであったが不用意に知的障害を指す用途に使用する者もいる。だが一般的に「マニア」と同義で使用されることがあり「釣りキチ」「カーキチ」「雀キチ」などの「キチ」がそれである。
これを単純に差別用語とするのはいかがなものか。
さて「こじき」、は正直問題ないと思われる。
軽犯罪法ではこれが禁止されており、第一条第二十二項 に「こじきをし、又はこじきをさせた者」は拘留又は科料に処すると書いてある。要はただの行為名もしくは犯罪名である。
「どろぼう」や「せっとう」が差別用語ではない以上「こじき」も差別用語ではない、と考えるのが自然だろう。
またこじきとは乞食と書くが、これは仏教用語では「こつじき」と読み、食料を乞う修行、いわゆる托鉢である。(ちなみに食料を与えるという行為が修行)
上記より、これも一概に差別用語とするのは無理があろう。

それよりも、
差別用語から子供を遠ざけたら差別はなくなるのか?
差別をテーマにした書物や漫画はどうするのか。
これを撤去するのは差別ではないのか!
表現の自由を侵す以上、その境界は明確でなければならない。
なんとなくボクがイヤだから、で焚書を行うような法治国家は存在しない。
それはまさしく気が狂った行為なのだ。
見たくないものは見ない世界では人間の本質は見えてこない。
本当に大切なことは何か。
もっと議論が必要であると思う。

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