2012年12月16日日曜日

iPS細胞心筋移植手術実施の誤報に対するBPOの見解


放送業界の良心「BPO」の役立たずっぷりをお目にかけよう。

第65回 放送倫理委員会 議事概要
http://www.bpo.gr.jp/?p=5882&meta_key=2012#h_021



上記議事概要より抜粋
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■iPS細胞心筋移植手術実施との誤報について

10月11日、一部新聞が一面トップで報じたiPS細胞心筋移植手術実施のニュースは、その後国際会議でポスター展示発表を行った研究者の虚偽発表 であることが明らかになったが、放送局では2局が報道番組で当該研究者のインタビューを含むニュースとして伝え、また、ほとんどの局の情報番組がこの新聞 記事を紹介する形で報じた。
ニュースとして伝えた2局のうち、日本テレビは11日朝から夜のニュースまで移植手術が実施されたことが事実であることを前提として大きく扱った。テレビ朝日は当日の夕方ニュースの最後で、国際会議で発表があった事実だけを短く伝えた。
虚偽の疑いがあると判明したあと、2局は13日から15日にかけて、お詫びや報道に至った経緯を説明する放送を行い、その後、当委員会に対して、経緯報告 書を自主的に提出した。(新聞記事の掲載前から取材していたNHKは心筋細胞移植手術実施のニュースとしては全く放送せず、12日夜のニュースの中で何故 放送しなかったかを説明した。)
委員会では、新聞の特ダネ記事を追いかけて報道する際に、どのような裏づけ取材が行われたのか、事実と判断した根拠はどこにあったのかを中心に、意見交換が行われた。
討議の結果、移植手術実施が真実であることを前提として、iPS細胞の作成方法や手術実施の経緯、患者のその後の状態までニュースで詳しく伝えた日本テレ ビに対しては、真実と判断した根拠は何だったのかに重点を置いた報告書を改めて求め、次回の委員会で討議を継続することになった。一方、移植を行ったと日 本人研究者らが国際会議で公表したという事実のみを短いニュースで伝えたテレビ朝日については、国際会議でそのような公表があったこと自体は事実であるか ら、あくまでその紹介のみのニュースであれば、誤報とは言えないとして、議論を終えることにした。
新聞の記事の紹介を中心に放送した民放各局の情報番組についても、コメンテーターの解説などに問題点が認められるものの、基本的には新聞で報じられたことを当該の新聞記事を使用して紹介するという枠を出ていないことから、誤報とは言えないとして、議論を終了した。

【委員のおもな意見】

  • この問題は2つに分けなければいけない。ニュースで流したところと、情報番組で新聞の紙面を見せたところと。それは違う性格のものだと思う。
  • 新聞がどんなに大きく報道しようと、自社で内容も確認しないで報道してよいはずがない。
  • 自分が自ら取材に行ったものではなくて、受身から始まる取材に対してどう裏づけを取るかという問題だと思う。自分から攻めて行っていない時のスタンスや対応に弱いところがあると思う。
  • テレビが独自にスクープしてこれは大きな間違いでしたということなら少し違うが、どう見てもこれは新聞の後追いだろう。テレビにもっと裏付けの取材しなさいということは言えるが、それ以上のことは言えない。
  • 間違ってはいけないけれど、間違うことはある。その時に単に反省しましたとか、以後気をつけますということになると、物事がどんどん痩せ細っていくという感じがする。BPOはそうした役割をしているのではないのだからいろいろな対応があって良いと思う。
  • 情報番組は、新聞の記事を紹介しただけでなく、ある種のコメントを重ねている。その部分に関しては番組として見なすべきであろう。情報番組でお詫びしていないのは、自主的自律的な是正が図られていないということではないだろうか。
  • 結局、真実と信じて放送したことにどれだけ合理性のある根拠があったのかということになる。

------------------------------抜粋ここまで。

委員の主な意見、が笑いどころだ。
特に以下。
 ・新聞の紙面を紹介した情報番組はニュースではないので別の問題である。
 ・新聞の後追いなので、テレビの大きな間違いということではない。
 ・間違いはあって当たり前。
 ・だから反省は不要。

「間違いはあって当たり前」というのは間違いを犯した人間が使えば欺瞞である。
これは次のような時に使うのが正しい。
 ・被害を被った側が間違いを犯した人間を許すとき
 ・間違いが当然と考え、間違う前にチェック体制を整えるとき

BPOが第三者機関の立場(※1)をとるなら被害を被った側の発言はしてはならない。
正直この議論は、内容も、結果も、委員の社会的立場の理解度と社会観念と責任感も、
全て残念としか言いようがない。


※1
BPOはそのHP内の自己紹介で「BPOはNHKと民放連によって設置された第三者機関です。」と宣言している。
ちなみに第三者機関というのは公正・中立な専門家によって構成されるのが常識であり、放送業界出身者で委員が占められるBPOがその範疇にあるかどうかは定かではない。

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